和伊翻訳表現の違いにみる醍醐味
和伊翻訳や伊和翻訳といったイタリア語と日本語間の翻訳に限らず、どんな言語同士の翻訳に関しても同じことが言えるかもしれないが、ぴったりと同じ表現がある場合と、まったく異なる言い回しや、違った表現に出くわすことがある。イタリア語と日本語のそれぞれの成立の歴史で定まったことだから、まさにイタリア人と日本人の文化と思考の違いが言語に表れているといっても過言ではあるまい。同じ言葉遣いがあるときは、イタリア人への親近感を抱き、違う場合にはまた、逆の意味で興味をそそられる。その近似と差異を意識しつつ、イタリア人に受け入れられる和伊翻訳、日本人にわかりやすい伊和翻訳に勤めるのが翻訳者の責務だ。
とはいえ、和伊翻訳を求める日本人にとっては、実際にどんなイタリア語翻訳になっているのかわからない。また和伊翻訳された文章を読むイタリア人にしても、元々の原文がどんな日本語だったのかは知りようがない。翻訳者の力量を信じて、微妙なニュアンスの違いも訳出され、それぞれまったく同じ内容であったものと納得するのが精一杯のはずだ。ゆえにそれぞれの言語の違いをいかに理解して正確な和伊翻訳を行うかは翻訳者の責任問題であると同時に、イタリア語と日本語の表現の近似と差異を楽しめる唯一の人物が和伊翻訳者であるともいえる。
たとえばイタチザメという鮫がいる。イタリア語では、日本語に直訳すればトラザメと称する。その色や模様からだろうか、かたや日本人がイタチに似ていると思っているものが、イタリア人には虎に見えるということか。古狸は古狐に変わってしまうし、これらなど歴史的に馴染んでいる動物の差だと笑って済ませられるかもしれない。けれど日本語の付け髭や付けまつ毛を偽髭に偽まつ毛、流れ星は落ち星、と切り捨てるのがイタリア人だ。それにしても、忍び笑いすることをイタリア人は髭の下で笑うと表現するが、髭は必ず存在するものという前提に立っているようだが、では女性が忍び笑いするときや、髭の少ない日本人が忍び笑いするときは、どう和伊翻訳したものだろうか。
それと共に感じるのは、日本語の表現の豊かさだ。もちろんイタリア語も完成された一言語だから同じことを示すために様々な言い回しがある。しかし古来より外来語を取り入れるのに熱心だった日本語のほうに軍配が上がるように思う。思わず今使った、軍配が上がるという表現にしても、和伊翻訳するときは頭を捻る。勝ちを判定する、勝利を告げる、というような当たり前の表現では面白みに欠ける。かといって、勝利のホイッスルを鳴らす、と何かのスポーツのような暗示をしてもよいものかどうか。これはもう原文の格調や、どんな対象の読み手なのかにも左右されるように思う。
伊和翻訳にしても和伊翻訳にしても、けっきょくはそれぞれの言語の持つ深みと知識をより掘り下げていくことが第一の作業だ。やればやるほど奥深い作業。だがその苦労を依頼者に知らせないさり気なさも、また別の意味で翻訳の醍醐味かもしれない。
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イタリア語一口メモ
イタリアにはGAZZETTAがついた名前の新聞がいくつかあります。これは16世紀にヴェネツィアで発行された新聞が、当時のコインであったGazzetta貨で購入できたことに由来するもので、ほんの一世紀ほど前までは新聞そのものをこう呼んでいました。
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